続・“ライブドア事件”で思うこと。
大学を卒業して最初に勤めた会社は、車の販売会社だった。
新車の販売営業をした。
配属されて間もない頃、若いご夫婦が営業所にいらっしゃる。
ワゴンタイプの新車購入を検討していて、各自動車会社のショールームを回っているとのこと。
接客をした私は、展示車を使って車の特徴やセールスポイント、購入後のアフターサービスのことなどをご説明した。
最後に見積書を作成し、お客様は「検討してみる」ということでお帰りになった。
お客様は好意的に話を聞いてくださり、私も接客には細心の注意を払った。
打ち解けたムードになり、少なくとも悪い印象を与えたとは思えなかった。
しかし、その後日のお客様の言葉は意外なものだった。
「誠意が足りません」
値引き額が他社に比べて少ないと言われたのである。
私としては社内で認められている限度を提示した。
他社より少ないかもしれない部分は、できる限りのアフターサービスと私の心意気や気持ちの面の誠意を
買っていただきたかった。
決して安くはない買い物であり、安全が求められるものだからこそ、まず“信頼”を大事にしたかった。
それでも、そのお客様にとっては「誠意=金額」だった。
もちろん、お客様にしてみれば少しでも安いほうがいい。
その気持ちわかるのだが、何だか悲しい気持ちになった。
今から思うと、もし仮に条件が合って買っていただいても信頼関係は築けなかったように思う。
結局、お客様は他社で購入され、私の心には「誠意がありません」という言葉がその後も重く残った。
私が引き継いだお客様の中に、会社の取引銀行のお偉方がいた。
社内の各営業所からは離れていたのだが、私の家から近かったために受け持つことになった。
何かあると本社経由で用件が回ってくることから、それまで現場サイドではまともに担当者がいなかった。
会社にとっても大事なお客様であることは承知していたが、特別変わらずに気持ちを込めたサービスに努めた。
点検を何度かした後、本社から特命が私に届く。
そのお客様が新車を購入するにあたり、私を気に入られ指名されたというのである。
それまでは本社の上の方で話がついて購入されていたようで、営業担当を指名したのは初めてだったらしい。
次の日曜日、お客様はわざわざ私のいる営業所にご家族で来てくださった。
展示車でご説明し、試乗車にもお乗りになった。
そして、車のグレードや色をお決めになると「後は君に任せるから」と言われてお帰りになった。
特別な条件を本社から出してもらったが、お客様は私を信頼してくださったのである。
車が売れたことよりも、そのことがとても嬉しかった。
そして、もの凄く責任を感じた。
その後も何度か「あなたから買う」と言ってくださったお客様がいらっしゃった。
そのたびに、とても嬉しかった。
心意気や誠意などの気持ちは形に見えない、あやふやなものである。
だが、人の心を動かすのは、例え不器用であっても人の心だと思う。
お客様からいただいた信頼は、お金では決して買えないものだった。
今はまったく異なる仕事をしているが、この2つの出来事は仕事をする上で私の根っこの部分にある。
先日も少し思ったことを書いたが、ここ数日ニュースや新聞などで「ライブドア事件」について報道されている。
強制捜査から1週間で、社長だった堀江貴文氏が逮捕された。
私はこれまで彼に対して好意的な印象を持ったことはない。
彼のことを知ったのは7,8年前のことだったが、一昨年のプロ野球新規参入の頃から発言を聞く中で、
「私の価値観では信頼できない人物」という印象を持った。
「人の心はお金で買える」という発言には特に賛同できなかった。
彼の主張は、利己的な自分本位に感じられたのである。
最近では《時代の寵児》などといってマスコミに持ち上げられていたが、私には疑問だった。
時代に新しい息吹を吹き込もうとする姿勢や反骨精神のようなものは良い。
だが、やり方が“良い”とはいえなかった。
少なくとも“大人”のやり方ではなかったと私は思う。
それでも本当に《時代の寵児》であるなら、私の不信感を吹き払うようなことをやってほしいと思う面もあった。
しかし、結果は今日のような状態である。
だからといって、決して「それ見たことか」とは思わない。
好意的ではないものの、そのように思うのはどこか違うと感じている。
とはいえ、何とも複雑な気持ちが残りそうだ。
それにしても、各メディアの手のひらを返したような報道はどうであろうか?
これまで彼を持ち上げたメディアは何だったのだろう?
一方、ニュース番組などで「街の意見」としてインタビューに答える人の中に「IT企業=あやしい企業、胡散臭い企業」
というように決め付ける人たちがいることは残念である。
ある一定の世代以上の人たちに「パソコンやインターネットなんてわからないからIT企業は信用できない」という
偏見があるように感じてしまうのは私だけだろうか?
確かに堀江氏は責められるべき点が多いが、ことさら袋叩きにでもするような扱いにはやや同情する。
ライブドアの株価が下がって損をした投資家の中には、堀江氏らと同じような発想だった人もいるのではないだろうか?
そんな人たちも影響や被害を受けたことになるのだろうが、…どうなんだろうか?
そんなこともちょっと気になった。
新車の販売営業をした。
配属されて間もない頃、若いご夫婦が営業所にいらっしゃる。
ワゴンタイプの新車購入を検討していて、各自動車会社のショールームを回っているとのこと。
接客をした私は、展示車を使って車の特徴やセールスポイント、購入後のアフターサービスのことなどをご説明した。
最後に見積書を作成し、お客様は「検討してみる」ということでお帰りになった。
お客様は好意的に話を聞いてくださり、私も接客には細心の注意を払った。
打ち解けたムードになり、少なくとも悪い印象を与えたとは思えなかった。
しかし、その後日のお客様の言葉は意外なものだった。
「誠意が足りません」
値引き額が他社に比べて少ないと言われたのである。
私としては社内で認められている限度を提示した。
他社より少ないかもしれない部分は、できる限りのアフターサービスと私の心意気や気持ちの面の誠意を
買っていただきたかった。
決して安くはない買い物であり、安全が求められるものだからこそ、まず“信頼”を大事にしたかった。
それでも、そのお客様にとっては「誠意=金額」だった。
もちろん、お客様にしてみれば少しでも安いほうがいい。
その気持ちわかるのだが、何だか悲しい気持ちになった。
今から思うと、もし仮に条件が合って買っていただいても信頼関係は築けなかったように思う。
結局、お客様は他社で購入され、私の心には「誠意がありません」という言葉がその後も重く残った。
私が引き継いだお客様の中に、会社の取引銀行のお偉方がいた。
社内の各営業所からは離れていたのだが、私の家から近かったために受け持つことになった。
何かあると本社経由で用件が回ってくることから、それまで現場サイドではまともに担当者がいなかった。
会社にとっても大事なお客様であることは承知していたが、特別変わらずに気持ちを込めたサービスに努めた。
点検を何度かした後、本社から特命が私に届く。
そのお客様が新車を購入するにあたり、私を気に入られ指名されたというのである。
それまでは本社の上の方で話がついて購入されていたようで、営業担当を指名したのは初めてだったらしい。
次の日曜日、お客様はわざわざ私のいる営業所にご家族で来てくださった。
展示車でご説明し、試乗車にもお乗りになった。
そして、車のグレードや色をお決めになると「後は君に任せるから」と言われてお帰りになった。
特別な条件を本社から出してもらったが、お客様は私を信頼してくださったのである。
車が売れたことよりも、そのことがとても嬉しかった。
そして、もの凄く責任を感じた。
その後も何度か「あなたから買う」と言ってくださったお客様がいらっしゃった。
そのたびに、とても嬉しかった。
心意気や誠意などの気持ちは形に見えない、あやふやなものである。
だが、人の心を動かすのは、例え不器用であっても人の心だと思う。
お客様からいただいた信頼は、お金では決して買えないものだった。
今はまったく異なる仕事をしているが、この2つの出来事は仕事をする上で私の根っこの部分にある。
先日も少し思ったことを書いたが、ここ数日ニュースや新聞などで「ライブドア事件」について報道されている。
強制捜査から1週間で、社長だった堀江貴文氏が逮捕された。
私はこれまで彼に対して好意的な印象を持ったことはない。
彼のことを知ったのは7,8年前のことだったが、一昨年のプロ野球新規参入の頃から発言を聞く中で、
「私の価値観では信頼できない人物」という印象を持った。
「人の心はお金で買える」という発言には特に賛同できなかった。
彼の主張は、利己的な自分本位に感じられたのである。
最近では《時代の寵児》などといってマスコミに持ち上げられていたが、私には疑問だった。
時代に新しい息吹を吹き込もうとする姿勢や反骨精神のようなものは良い。
だが、やり方が“良い”とはいえなかった。
少なくとも“大人”のやり方ではなかったと私は思う。
それでも本当に《時代の寵児》であるなら、私の不信感を吹き払うようなことをやってほしいと思う面もあった。
しかし、結果は今日のような状態である。
だからといって、決して「それ見たことか」とは思わない。
好意的ではないものの、そのように思うのはどこか違うと感じている。
とはいえ、何とも複雑な気持ちが残りそうだ。
それにしても、各メディアの手のひらを返したような報道はどうであろうか?
これまで彼を持ち上げたメディアは何だったのだろう?
一方、ニュース番組などで「街の意見」としてインタビューに答える人の中に「IT企業=あやしい企業、胡散臭い企業」
というように決め付ける人たちがいることは残念である。
ある一定の世代以上の人たちに「パソコンやインターネットなんてわからないからIT企業は信用できない」という
偏見があるように感じてしまうのは私だけだろうか?
確かに堀江氏は責められるべき点が多いが、ことさら袋叩きにでもするような扱いにはやや同情する。
ライブドアの株価が下がって損をした投資家の中には、堀江氏らと同じような発想だった人もいるのではないだろうか?
そんな人たちも影響や被害を受けたことになるのだろうが、…どうなんだろうか?
そんなこともちょっと気になった。
この記事へのコメント
怒りをおぼえます。政治家も同じです。
どうも実体があるように感じられない、
何ともしっくりとこない事件ですね。
裏があるというか、様々な思惑が錯綜している
事件のようにも感じます。
私は怒りは感じませんが、マスコミや政治家の
対応や扱いについては、不信感があります。
本質的ではないように思うのは私だけでしょうか?
私も堀江氏はあまり好きではありませんが、
目立ち過ぎて「見せしめ」で捕まったのかな?って昨日
友人と話しました。
もっと悪い事している人たくさんいるんでは?って今日
お客さんと話したところです。
堀江氏には力になってくれる有力者がいないから捕まったのかしら?
何てとも話しました。
マスコミの変貌ぶりにはビックリですよね。
所で堀江氏はどうなるんでしょうか?
ウィンドさんは誠実な方のようですね。
長い目で見ると誠実が良いと思います。
お金があった方が良いですが、あまりにお金の亡者は
私は好きではありません。
とっても大きいと思います。
また、ホリエモン効果で、大学の経済関係学部の
志望者が増え、法学部の志望者が減ったとか。
ライブドアやホリエモンのライフスタイルに憧れた
多くの若者の夢を壊した彼の罪も、
やっぱり大きいですよね。
小学校か中学校の頃の文集に、
「趣味はお金を集めること」と書いてた彼。
母親も拝金主義の傾向があったとか。
「人の心はお金で買える」っていう考えは
幼い頃から芽生えていたのかと思うと、
改めて心の教育や育つ環境の大切さを
考えさせられます。
日本のワイドショー好き、ワイドショー的報道番組の
多さです。(国外に出てみないとわからない日本のテレビ、
メディアの特徴です。)
それも、報道が偏る原因のひとつだと思いますヨ~
マスコミの変貌も因果応報といってしまえば
それまでだと思います。
世間というのはそんなものかもしれません。
ですが、少々疑問にも思いますね。
“見せしめ”的な面もあるかもしれません。
今回の騒動は、いろいろな思惑が絡み合って
いるようにも感じられますね。
自分で誠実であるかどうかはわかりませんが、
誠実でありたいと思っています。
ありがとうございます。
仰るとおりだと思います。
今回の事件、騒動が国内外の社会に与えた
影響は大きいですね。
若者の夢を壊したというのもあると思いますが、
彼のようなライフスタイルに憧れてしまう風潮に
対しても、教育や環境の重要性を感じさせます。
ここ15,6年ほどのあまり良いとは言えない
社会傾向の極端な例が、今回の事件のようにも
感じます。
昔からのワイドショーの変遷を考えると、今日の
ような報道傾向は、ある意味ではしかたないこと
なのかもしれません。
とはいえ、マスコミや各メディアには自省や自浄
が必要だと思います。
そして私たちも真実を見極める目を持つことが
大事だと思います。
ジャーナリズム精神があるとはいえないメディア
が存在することに憂慮する気持ちです。